SSブログ

暁。 [小説]

朝早くに目が覚めた。
もう一度寝直そうと寝返りを打った。
窓のカーテンの隙間から空が見えた。
今まさに夜が明けようとしている空だった。

藍と茜が混じる空。

「…明けない夜はないってば。」

・・・・・・・・・・・恥ずかしいので・・・。(笑)

つぶやきが聞こえたのか、隣人が身じろいだ。
空から寝息を立てる隣人に視線を向ける。
黒髪が顔にかかって鬱陶しそうに見えた。
そうっとそれを払う。

整った顔立ちの、年齢よりは年上に見える顔が現れた。

「眉間にしわが…。」

眠りながらも難しいことを考えているのか、
しっかりしわが縦に入っている。
起こさないように優しくつついてみた。
それくらいでは伸びないことは分かっているのだが、
やらずにはいられない。

「男前が台無しだってば。」

気難しい顔も渋くて好きなのだが、
優しく笑った顔が一番好きなのだ。
何より独り占めしているような気がして仕方がなくて。
そう、この隣人は滅多と人の前で笑わないのだ。

「へへへ…。」

自然と笑みが漏れる。
自分にだけ向けられた笑顔。
誰にも渡せない。

「大好きだってば。」

眠る隣人の額に口付ける。

空は茜でいっぱいになっていた。

そして腕の中でもう一度目を閉じた。
僅かな時間ももったいなくて…。

 

・・・・・・・色々ご想像にお任せします。はい。(苦笑)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。